がんサバイバー外来

がんサバイバー外来とは

がんサバイバー外来とは、がんとともに生きる皆様をサポートする外来です。次のようなお困りのことがございましたら、些細なことでも構いませんので遠慮なくご相談ください。当院ではあらゆるがんのフォローに対応します。お気軽にご相談ください。

  • がんの治療後の症状で困っている。
  • がん以外の内科の病気も見てほしい。
  • がんそのものの症状で困っている。
  • がんの再発が不安。

がんサバイバー外来受診に
当たってのお願い

がんサバイバー外来の受診にあたっては、現在の病気の状態やこれまでの経過を詳しくお
伺いしますので、これらがわかるようにしていただければ幸いです。(診断時の病気の状態、がん治療歴(治療内容、期間)、現在の皆様の状態、内服歴、最近の血液検査や画像検査の結果など)お伺いする情報は多岐にわたる可能性がありますので、診療情報提供書(紹介状)があればより的確な診療が可能です。
診療情報提供書が必須というわけではございませんが、上記の情報不足により診療が制限される可能性があることはご承知おきください。

がんサバイバーとは

日本では一般的に手術やお薬の治療、放射線治療など、がんに対する積極的な治療を終えられた方のことを指すことが多いですが、実際は「がんサバイバーとはこうあるべき」と決まっているわけではなく、がんと診断された全ての方を指すこともあります。
また、がんサバイバーが、本人だけではなく周囲の人々や社会が協力して様々な問題を乗り越えていく在り方を指すこともあり、日本に 700 万人、米国に 1800 万人、全世界では推定で 3200 万人の方ががんサバイバーであるとされています。
当院では、がんと診断された患者様が、がんそのものによる症状やその治療による後遺症、社会生活などの様々な問題に直面した時に、ご本人はもちろんご家族も含め自分らしい生活を送れるように支援しております。

がんサバイバーの方に
必要なケアとは

がんサバイバーの方に必要なケアには、以下の5つがあります。

  1. がんの再発チェック
  2. 新たながんができていないかのチェック
  3. がん治療によって生じた体や心の不調のケア
  4. がん以外に抱えている病気のケア
  5. 通常のプライマリケア(*)

(*) プライマリケアとは、普段から何でも診てくれて相談に乗ってくれるクリニックなど
の医療機関による診療のことです。

①がんの再発チェックや、②新たながんができていないかのチェックは、がん治療を主に担当する医師や医療機関で行います。また、④がん以外に抱えている病気のケアや⑤通常のプライマリケアは、かかりつけの開業医やクリニックで行っていることが多いと思います。
しかし、③の「がん治療によって生じた体や心の不調のケア」はいかがでしょうか。がん治療医の先生は多くの患者様を担当しているため、このような症状までなかなか診療する余裕はありません。また、一般的なプライマリケアを担当する開業医の先生方は、がんやその治療によって生じた後遺症のことをあまりご存知ではないのが実情です。
現に、開業医の先生方で、乳がんの主な治療薬であるドキソルビシンの心臓毒性を知っているのは半数程度、パクリタキセルの代表的な副作用であるしびれを知っているのは 27%、大腸がんの治療薬のエルプラットの代表的な副作用であるしびれを知っているのはたった 22%程度という報告があります。がん治療の知識がないと、③がん治療によって生じた体や心の不調のケアを診療するのは難しいです。
当院のがんサバイバー外来では、通常なかなか診療が難しいとされる③「がん治療によって生じた体や心の不調のケア」にも対応させていただきます。

乳がんフォロー

がん治療によって生じた
体や心の不調の
ケアについて

「③がん治療によって生じてしまう体や心の不調」には以下のような症状があるとされます。 これらの症状の一部は長く続いたり、長い時間をかけて症状が現れる障害もあります。実際、がんサバイバーの方は、がんではない人と比較して、身体的、あるいは精神的な生活の質が低下しているという報告もあります。これらの症状には、残念ながら根本的な解決が難しい場合もありますが、治療可能な症状もあります。ぜひご相談ください。

がん治療によって生じる
体や心の不調

  • 手足のしびれ
  • 感覚の障害
  • こむら返り
  • 手足の痛み
  • 関節痛
  • 痛み
  • だるさ
  • 疲労感
  • 倦怠感
  • 視力低下
  • 聴力低下
  • 感染症のリスクの増加
    (脾臓(ひぞう)を手術で摘出された方)
  • 心臓機能の低下
    (体を動かしたときの息切れ、動悸、むくみなど)
  • 肺機能の低下
    (体を動かしたときの息切れ、息苦しさ、咳など)
  • 心の不調
    (うつ症状、不安症状、不眠)
  • 集中力の低下
  • 記憶力の低下
  • 骨密度の低下(骨粗鬆症)
  • 手足のむくみ
    (特に乳がんや婦人科がんでリンパ節を手術でとられた方)
  • お腹の症状
    (食欲低下、胸やけ、便秘や下痢などお通じの異常など)

がんと生活習慣病

がんサバイバーの方では、高血圧や高脂血症などのいわゆる生活習慣病のリスクが、がん患者以外の方と比べて高いことが知られています。これらの生活習慣病のコントロールが不十分ですと、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な血管病の発症につながることがあります。
がんサバイバーの方は、がん治療後も続くだるさや倦怠感などのため、運動が少なくなりがちです。その結果体重の増加や生活習慣病の悪化、最終的には死亡率の増加につながるという報告さえあります。生活習慣病などの合併症のあるがんサバイバーの方は年々増え続けており、近年のアメリカの報告によると 20 年弱でおよそ 1.7 倍に増加しています。(2002年 470 万人⇒2018 年 810 万人)
また、一部のがん治療で用いられる薬剤には、副作用として血圧やコレステロール値、血糖値などを増加させる副作用もあるため、積極的なコントロールが必要になります。
このようにがんサバイバーの方の生活習慣病のコントロールには、がん治療の知識が必要となる場合があります。まずはご相談ください。

このような症状が
ありましたら
ご相談ください

がん患者さんのリハビリテーション

リハビリテーションとは、様々な原因によって失われたものを回復させることをいいます。リハビリテーションは単なる機能の回復に留まらず、病気によって失われた筋力や社会的不利を取り戻すために行われる技術や支援であり、「人間らしく生きる権利の回復」や「自分らしく生きること」が重要とされています。
がん治療の発展に伴い、がんを克服することができる時代になってきました。一方で、がん自体、あるいはがんの治療による後遺症に苦しまれるがんサバイバーの方も多くいらっしゃいます。
がん自体による症状や、がん治療に伴う後遺症など、心身に起こる様々なつらさに対処する、がんのためのリハビリのことを、がんリハビリテーション(通称がんリハ)と呼びます。がん治療において、このがんリハビリテーションも非常に重要な役割を担っており、がんと診断された直後から受けることができます。
当院では、リハビリテーションスタッフと連携しながら、がんサバイバーの皆様が抱える心理的、身体的な影響や制約を改善し、がんと共に生きる新しい医療の在り方として、リハビリテーション医療を推進しております。

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